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BLOG 小山弘訓 > 気まぐれ 2
2007.12.29

気まぐれ 2

年末、どうしてもやり残して気持ち悪いことがあった。


先日の、気まぐれ老舗ラーメン屋で、
“大盛り五目ラーメン”を食べる事だっ。


年末の自分のスケジュールを考えても、行くなら今日、今しかない!

僕は意気込んで、リベンジすべく、ルンルンと店に向かった。


下調べは万全だ。

過去のデータから言って、この時間は大方開いているはずだ。

だが、今までに何度もすかされた事があるだけに、
油断は禁物だ。


僕は店に近付くにつれ、辺りを注意深く窺いながら、恐る恐る店の見える場所に立った。


…のれんが出ている‥。

当たり前だが、営業しているということだ。

僕は店をジッと見据えて、


「よしっ。」


自分に気合いを掛け、一直線に店へ向かった。

店の前で立ち止まり、ひとつ大きく深呼吸して、のれんをくぐり、扉をガラガラと開ける。

「いらっしゃい!」


と、男の低い短い声。

店内を見渡すと、客はおらず、正面のカウンターなかに初老の白衣を着た男が一人立っている。


老舗ラーメン屋の名物オヤジだ。

前回はこのオヤジの気まぐれにやられたんだ。

オヤジ、そうか、さては俺を待ってやがったな。

一対一とは気に入った!勝負だぜ!


僕は威勢よく、古い店らしく斜めっているカウンターに腰掛けた。


注文するものは決まっている。

「上五目ラーメン、大盛り!」

僕は鋭い口調でオヤジに注文をする。


普段なら五目ラーメンにするところだが、
一人で待っていたオヤジの心意気に、ここは最上メニューの、


“上五目ラーメン大盛り”。


「へいっ!」


と、短く鋭い返事が返ってくる。


さすがは老舗ラーメン屋のオヤジらしく、返事も古風だ。

オヤジはてきぱきと、それこそ何十年もそうしてきたろう慣れた職人の手つきでラーメンを茹で、こさえていく。


そうしてラーメンが出来上がった。

オヤジは、


「へい、おまちっ」


と渋い低い声で僕の前にラーメンを置いた。


気まぐれ 2

上五目を食べるのは初めてだ。
普通の五目より具の種類が多い。


僕は、箸を取り、


「いただきますっ」


と、これまた短く返す。

さあ勝負だっ!

気まぐれ 2

まず、具と麺を絡ませる。
麺もいい具合に茹で上がっている。


さすがだ…。


僕は麺をずるずると口にする。


「美味いっっ」


思わず口走ってしまう。


それからは一気呵成だ。

黙々とラーメンを食すのみ。
大盛りだが美味すぎて大盛りの気がしない。
どんどんどんどん胃袋に収まっていく。


そうして残すはスープのみ。
最期までぐいっと飲み干す。

…最高!!!。

どんぶりを置き、ふ〜っと幸せの溜め息を吐いた。

ふと顔を上げると、
オヤジがニヤニヤしながらこちらを見ている。

「どうだ、うちのラーメンは最高だろうよ!俺の勝ちだな。」

と言わんばかりの表情だ。

うぅ〜〜っ、くそっ〜!!
く、悔しいが今日もあんたの勝ちだよっ!!


…今日も負けて店を後にする自分でした…。


おい、老舗ラーメン屋!
来年こそは必ず勝ってやるぞ!
待ってろよ!


オヤジ、今年一年、ごちそうさんっ!!!


小山弘訓

気まぐれ 2